「海外で働く人が驚いた日本とのギャップ」に、ツッコミました
Naverまとめの記事「海外で働く人が驚いた日本とのギャップ http://matome.naver.jp/odai/2129410761628592301 by なぁーこさん」が、とても面白かったのですが、納得するケースと、これは違うなと思うケースと、いろいろだったので、自分の経験を元にツッコミを入れてみました。
以下の点については、ご了承ください。
- 環境や、個人の感じ方で、全然違ってくると思うので、一般論だとは思わないでください。
- 自分が今までは働いたのは、日本のゲーム会社と、海外のゲーム会社の2社です。「東京」が日本の会社、「バンクーバー(カナダ)」「バルセロナ(スペイン)」「シンガポール」は海外の同じ会社です。
- ゲーム会社しか知らないので業界による偏り、海外については「同じ会社」でしか働いてないという偏りは、かなりあると思います。
- 「海外」と表記してても、基本、働いた3ヶ国だけを指してます。
それでは、ここからスタートです。長文です。
長期休暇はしっかり取る
東京 | △ |
バンクーバー | ○ |
バルセロナ | ○ |
シンガポール | ○ |
日本にいたときも2週間程度の長期休暇は取れてましたが、プロジェクト終了後に、休日出勤分の振替休暇を使っていたというかんじです。有給休暇は年に1・2日しか使えてなかったので、△にしました。
海外では、ほぼ全員が振替休暇・有給休暇を使っていると思います。余って消える場合は、休暇買い取りになってます。
あと、スペインは有給休暇が長いです(年27日でした)、振替休暇と組み合わせて、2・3ヶ月の休暇を取っている人は普通にいました。前年の分の有給休暇と組み合わせて、半年ぐらい休んでる人もいました。
決して謝らない
東京 | × |
バンクーバー | × |
バルセロナ | × |
シンガポール | × |
たぶん、「I'm sorry. というと責任を全部認めたことになるので、そう簡単に言うべきではない」というのが日本に広まってるからかもしれませんが、謝らないってことはないです。謝るべきケースで謝らない人も、まれにいましたが、そういう人は信用をただ失っているだけでした。それは、日本でも海外でも同じだと思います。
ロシアの社長は平社員と一緒に飲まない
東京 | × |
バンクーバー | × |
バルセロナ | × |
シンガポール | × |
ロシアはそうなのかもしれませんが、東京・バンクーバー・バルセロナ・シンガポールいずれも飲んでますw
残業はしません
東京 | × |
バンクーバー | ○ |
バルセロナ | △ |
シンガポール | × |
残業する必要があったら、多くの人はしますが、どんなことがあってもしないという人の割合は、バンクーバーが多かったかもしれません。海外だと、残業時間が長いと、管理職の管理能力が低いとみなされるので、残業時間を減らす工夫はいろいろしてる気がします。残業時間には大きな差がありますね。
仕事中でも平気で私用電話する
東京 | × |
バンクーバー | ○ |
バルセロナ | ○ |
シンガポール | ○ |
これは、今でも違和感を感じるギャップです。ミーティング中でも、家族から電話があったら、普通に電話にでる人がほとんどです。日本だったら、電話の着信音がなった時点で、相当まずいケースだと思うのですが…。
14時から16時にかけて昼休み
東京 | × |
バンクーバー | × |
バルセロナ | × |
シンガポール | × |
スペインには、シエスタ(長い昼休み)があるのですが、大きな会社やスペイン北部では、なくなりつつあるようです。実際、バルセロナでは14時〜15時が昼休みでした。
残業があるときなど、皆必ず残業に入る前にしっかり夕食を食べる
東京 | ○ |
バンクーバー | ○ |
バルセロナ | ○ |
シンガポール | ○ |
日本でも、しっかり夕食食べる気がするのですが、もしかしてゲーム業界だけなんでしょうか…。
違いといえば、海外では、残業のための夕食はOT Mealと呼ばれて、会社が払います。会社が出前をとったり、自分で夕食を買いにいって後で代金を払い戻したりです。ただ、たまに働かずにOT mealを食べる人や、OT mealを食べて19:30ぐらいに帰ったりする、ずるい人は割といます(もちろん、怒られます)。
賞与は一切無しでインセンティブのみ
キムチ作りにボーナス(諸手当についてと解釈しました)
東京 | △ |
バンクーバー | × |
バルセロナ | × |
シンガポール | × |
通勤手当、住居手当など王道なものから、ちょっと変わった諸手当まで、日本は意外とあると思います。海外は基本は年俸だけです。年俸だけ=実力勝負というかんじがするので、自分は海外の形式のほうが好きです。ゲームが大きな利益をあげたらインセンティブがもらえるのは、日本も海外も一緒ではないでしょうか?
ただ、他社に転職する際には、交渉があるので、そこで手当などがつく場合があります。自分の場合も、引っ越し手当と、日本への帰省の手当がありました。ちなみに、バンクーバーの元上司が、イギリスからカナダの別会社に移る際に、交渉で「ペットの引っ越し手当も契約に含めてくれ」とお願いしてOKがでたのですが、それでペットとして馬を飛行機で輸送させてました…。
男性育児休暇が当たり前にとれる
東京 | × |
バンクーバー | △ |
バルセロナ | ? |
シンガポール | × |
日本では、見たことなかったです。バンクーバーでは数ヶ月の育児休暇を取ってる男性はいました。シンガポールは、制度が複雑ですが、短いので、取ってる人は見たことがありません。
あと、女性の育児休暇についてですが、バンクーバーでは、数週間で職場に戻ってくる人も、それなりにいました。日本だと、女性が育児休暇をとった場合は、だいたいは長期間休むと思いますので、あまりこういうケースはないかもしれません。
人の席の電話は鳴ってもとらない
東京 | × |
バンクーバー | ? |
バルセロナ | ? |
シンガポール | ? |
そもそも、ほとんど会社に電話がありません…。電話を受けるのは事務の人だけです。日本では、5席に1個ぐらいあって、外線・内線ともに電話を取ることが多くあったのですが…。日本でなぜ会社に電話がかかってきていたのか、あまり覚えてません…。
顧客のメールを1週間以上普通に放置する
メールの返事が嫌い
催促されなければ仕事をしない
責任感がなく、ミスを指摘すると「マイペンライ(問題ない)」と答える
東京 | × |
バンクーバー | △ |
バルセロナ | × |
シンガポール | × |
この4つについては、日本・海外云々じゃないですね。日本であろうと、海外であろうと、仕事で結果を出してる部署・支店についてはちゃんとしてますし、結果を出してないところはダメです。断言できます。全部、仕事に直結することですし、そうなるのも当然かと。
ブログでクビになる
東京 | × |
バンクーバー | × |
バルセロナ | × |
シンガポール | × |
今の海外の会社との契約で「常識的な使用範囲なら、仕事の間にSNS等をやっても問題ない」と明記されてるので、問題ありません。心配だったら契約の際に聞けば良いだけです。もちろん、会社の秘密等を書き込んだらクビになりますが、それは日本も海外も同じでしょう。
仕事より家族
東京 | △ |
バンクーバー | ○ |
バルセロナ | ○ |
シンガポール | ○ |
日本にいたときの会社は、「仕事より家族が大事」ということに理解がありましたが、個人レベルでは、「仕事より家族が大事」か「家族より仕事が大事」は考え方はバラついてると思いますし、実際、家族を犠牲にして、不幸な感じになってる例も数例見かけました…。海外では、「家族より仕事が大事」と言ってる人を、ひとりも見たことがありません…。家族の問題があったときは、制度的にも融通がきくので、助かっています。自分の場合、身内の病気があったのですが、「無給の休暇については、何か月とってもOK」と言われて、とても助かりました。
バンバン転職する
東京 | × |
バンクーバー | ○ |
バルセロナ | △ |
シンガポール | ○ |
バンクーバー、シンガポールでは、バンバン転職してます。うちの会社のシンガポール支店は、出ていく人が少ない(といっても年に1・2割はやめる)ですが、明らかに例外で、シンガポール全体では、とても多いそうです。
あと、「海外では、転職する人ほど、能力が高いとみなされる(能力が低い人は転職できない)」というのは、日本にいたときには耳にしてたのですが、実際はケースバイケースです。本人の実力次第です。
納期が自己都合で延長される
東京 | × |
バンクーバー | × |
バルセロナ | × |
シンガポール | × |
さすがにゲームの開発でそれはないですが、海外の事務系の仕事は、てきとーすぎるので、そういうケースは見られます。
終業時刻は厳守する
東京 | × |
バンクーバー | × |
バルセロナ | △ |
シンガポール | × |
日本でも海外でもコアタイムがありますが、終業時刻はそんなに気にしてないと思います。タイムカードをちゃんときってたバルセロナが一番終業時刻を気にしてたかも。
遅刻は平気でする
東京 | △ |
バンクーバー | △ |
バルセロナ | △ |
シンガポール | △ |
全部△にしましたが、意味的には結構違います。バンクーバーの場合は、時間を守る意識はむしろ低いのですが、そもそも朝早く来て早めに帰る人が多かったです。朝にランニングしたり、昼にジムにいったり、健康を意識した生活をしている人が本当に多いので、そもそもギリギリにくる必要がないかんじです。でも、遅く来る人は、自分のペースですごい遅くきてたので、△にしました。マイペースの結果です。バルセロナ・シンガポールは、大遅刻する人はいませんが、コアタイム間際にくる人が多く、多少遅れる人もいるかんじです。日本にいたときは、最初の部署が何時に来ても良い感じで、次の部署は時間に厳しい感じだったので、まちまちです。
仕事中に飲食可
東京 | ○ |
バンクーバー | ○ |
バルセロナ | ○ |
シンガポール | ○ |
どこでも、いつでも、普通に食べてます。IT系の会社で、ダメって言われてるところは、あるのかなぁ。
仕事中にカウンター内で弁当を食べたり、PCでチャットやオンラインゲームをしたり、従業員同士で大声でべちゃくちゃおしゃべり(飲食部分はダブってるので無視しました)
東京 | △ |
バンクーバー | ○ |
バルセロナ | △ |
シンガポール | △ |
これは、日本・海外によらず、チームの雰囲気による気がします。結果重視なので、迷惑をかけなければ、何してもOKではありますが。
大卒の学歴がいらないような仕事に就く
東京 | ? |
バンクーバー | △ |
バルセロナ | ○ |
シンガポール | × |
シンガポールは、明らかな格差社会になってますし、×でしょうね。バルセロナは、この問題をよく聞きましたが、経済危機による若者の失業問題の影響なので、時間がたてば、たぶん学歴にあった仕事に就くのではと思います。
ゲーム業界だけで言えば、日本のほうが、学歴を気にせず、雇っていると思います。
女たちが汗水垂らして働く横で、男たちがグータラと寝そべっている
東京 | × |
バンクーバー | × |
バルセロナ | × |
シンガポール | × |
どんな仕事でも、上記の4か国では、見かけないですね…。
チップがもらえる
東京 | × |
バンクーバー | ○ |
バルセロナ | △ |
シンガポール | × |
もちろん、ゲーム業界では一切ありませんので、一般論として。シンガポールは日本と同じでチップ不要。バルセロナは良いサービスを受けたらって感じで、基本はいりません。バンクーバーはチップあります。チップは慣れるまでは面倒ですね…。
チームの同僚が仕事をやめる日のfarewell partyとかでも定時後の時間ではなく、ランチの時間を使ってる
東京 | × |
バンクーバー | ○ |
バルセロナ | ○ |
シンガポール | ○ |
ランチの時間も使いますが、プロジェクトの忙しさによりけりです。日本の場合は、そもそも辞める人が少なく、プロジェクト終了後とか辞める時期を考えて辞めていきます。海外の場合、プロジェクトの時期を気にせず、いつでも、しかも頻繁にやめていくので、ランチの時間にせざるをえないケースが結構あります。プロジェクトが忙しくないとき・やめる人が飲み好きで夜にしたいとき・影響の大きい人のときは、ふつうに夜にfarewell partyをやってると思います。
会社のイベントは自由参加
東京 | ○ |
バンクーバー | ○ |
バルセロナ | ○ |
シンガポール | ○ |
日本にいたときは、自分はイベントは喜んで全参加してたので、あまり分からないですが、日本でも断ろうと思えば断れたと思うので、自由参加なのかな?一般的には、強制参加というケースも多いのかもしれませんね。
海外だと、会社イベント(忘年会・新年会・打ち上げ)で、内容によって、家族同伴可のイベントや、恋人同伴可のイベントになったりします。むしろ、恋人同伴可のイベントに、1人で参加するのが、プレッシャー…(; ;)。
仕事に関することは勤務時間内
東京 | ○ |
バンクーバー | ○ |
バルセロナ | ○ |
シンガポール | ○ |
これは、個人によります。基本、勤務時間内ですが、勤務時間外でも勉強できることは、無限にありますし、影で努力している人はいくらでもいます。ちなみに、「ゲームエンジンアーキテクチャ」という業界内ではとても有名な本を書いた人がいるのですが、毎朝5時に出勤して本を書いていたそうです。逆に、勤務時間内にめっちゃ集中して仕事をして、すごい結果を出している人もいます。
出社後は、ゆったりコーヒー飲んでたり朝ご飯食べてたりする
東京 | × |
バンクーバー | ○ |
バルセロナ | △ |
シンガポール | △ |
バンクーバーは◎つけたいです。出社後すぐに仕事を始める人は、あまりいなかったかも。キッチンで朝飯を調理してる人もいました。バルセロナ・シンガポールでも、それなりにいます。日本ではアウトでしょう。
こんなかんじです。所詮1人の見識なので、あてにしないように。ただ、いろんな人が、こういうツッコミをいれたら、海外での実態が見えやすくなるかもしれませんね。他の人のツッコミにも期待しましょう。
それでは!